【相方観察日記 #03】いつかの夢

ヴィットピレン401

〜 定年後に走りたい、まだ行かない道の話 〜


今はまだ、週末ライダー

今は地元を離れた場所で生活している。

週末ライダーという立場もあって、

走れる時間も距離も、正直そんなに多くはない。

それでも、

ピレンくんには“いつかの夢”があるらしい。


定年後に走りたい、地元の道

地元に、

ゆるくゆっくり走るのにちょうどいい道があって、

定年後に、のんびり走りたいのだそうだ。

行く場所は、実はもう決まっている。

ここに行く、という道があって、

とても綺麗な道らしい。

特に、

新緑の頃が一番いいのだそうだ。

その話し方が、

いかにもピレンくんらしい。


住んでいる場所からは、かなり遠い

住んでいる場所からは、まあまあ遠い。

フェリーに乗って、そこから高速を4時間ほど。

さらに下道を1時間。

しかもフェリーだけで、だいたい1日半。

週末にふらっと行く距離じゃないし、

今の生活の中で無理をして行く道でもない。

どう考えても、

これは“今の道”じゃない。


フェリーで行きたい理由

フェリーを使うのは、

楽をしたいからじゃない。

バイクを乗せて行きたいからだ。

海を渡って、

陸に降りて、

そこからエンジンをかける。

きっと、

走る前からもう旅は始まっている。


フェリーで1日半という時間

フェリーで1日半。

時間だけ見れば、正直長い。

たぶん特別なことはしない。

海を眺めて、コーヒーを飲んで、

何度かバイクを見に行くくらいだと思う。

今の自分が行ったら、

「早く着きたい」って思ってしまいそうで、

それはちょっと、この道に失礼な気がする。


だから、今は行かない

行けないんじゃなくて、

行かないと決めている。

定年後、

時間に追われなくなって、

移動そのものを楽しめるようになった頃。

フェリーの待ち時間も、

長い高速も、

下道の信号も、

全部含めて味わえるようになった時に。

そのくらいが、

ちょうどいい気がする。


いつか、その時が来たら

行く時は、

たぶん一緒について行くと思う。

なんだか楽しそうだし、

美味しいものも食べられそうだし。

何より、

楽しそうに笑っているピレンくんを、

近くで見られたら、それでいい。

この道は、

まだ先に置いてある夢。

今じゃないだけで、

ちゃんと、そこにある。

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